ボールは丸い

少し、旅をしています♪ 直感と好奇心とお酒と世界中の友達と

プロヴァンスにて

今、司馬遼太郎とドナルドキーンの日本人と日本文化というのを読んでて、日本語ってこんなに美しかったっけと思い出してしまい、美しいものに出会った旅行を日本語で書きたいと思い、筆を動かしている。

仲の良いクラスメイトが誘ってくれて、南仏のプロヴァンス地方に旅行をした。フランス語にも、英語で表現できない奥深い言葉がたくさんあるらしい。彼の英語はかなりのハイレベルだから、英語での表現を快適にしているのかと思ったら、そんなことはなかったらしく、フランス語として持っている概念がたくさんあることに気づいた。英語の文書よりも、フランス語や日本語は長くなる、奥深い何か言い回しみたいなのがある、と彼のお母さんが話してくれたことには、納得。日本の良さは伝統と新しいもののバランスにあると言ってくれた。

彼のジョークとか美しい愛情表現は、英語だけれど、フランス語から来ているってのは気づいていたけれど、やっぱり美しい。

 


私は日本の都会の競争社会の中で生き、エリートになりたかったし、体育会という独特の文化の中でストイックに生きてきたように思う。努力をし続れば報われるというような信念を持ち、大都会の喧騒の中で、なんとか息つぎをしながら、走り続けてきたように思う。そんな私を見て、宮澤さんは、ゆっくりゆっくりと言ったものか。

 


プロヴァンスの広大な自然と、葡萄畑、ラベンダー畑、コクリコの花、ロゼワイン、新鮮な空気の中を駆け抜けていると、人生の中で美しいものというのは、別にあるように思える。

 


彼の見せてくれた美しい風景は、どれもうっとりするもので、そこにいる自分が自分でいることを喜びに感じさせてくれる。青い空が向こうまで伸び、緑の山は色を変えて大地を取り囲み、青緑の湖や溜め池がバカンスを楽しむちっぽけな人間を受け入れながら少し波音を立てる。空を染める夕日や、雨の中にかかった虹が、有り難いひと時を私に届ける。

 


南仏のスポーツ、ペタンクpétanqueの熱戦の名残を、真夜中の風が流そうとしているとき、星が見たいと言ったら、あかりを消してくれて、私たちは、外に寝転がり、何も話さず、愛犬と愛猫と戯れながら、星を眺め風の音を聞いた。


家族との時間を大切にし、そんなに話すことはあるだろうかってほど家族と議論をしたり、笑ったり。

友達とは、なんの意味もないじゃれあいや冗談を言って1日を過ごす。

彼がロンドンの喧騒にわざわざやってきた意味を疑うけれど、君と出会った奇跡がこの胸に溢れてる、に結局行き着く。

 


全く違うところで育ち、1つの教室で出会った友達のルーツを辿り、人生の美しさを知る。これ以上のことはありますか。彼の部屋の棚に敷き詰められた漫画と、ワンピースの絵が、私をここに引き寄せてくれたんだと思い、何で日本ファンだと隠していたのよ!と聞くと、隠したことなんてないよ!と照れくささを浮かべる。なんでもない笑いが、幸せだなぁと思う。