ボールは丸い

少し、旅をしています♪ 直感と好奇心とお酒と世界中の友達と

スラム街の子供たちと友達になる

スラム街でサッカーをするというイベントが行われ、最後は収集がつかなくなるようなありさまだったけれど、なんとかイベントというのは終了することができた。誰も死ななければイベントは成功なんだよ、って元上司のカリベさんが言っていたのを思い出すけど、死ななければ、というフレーズが単なるたとえでは済まないようなエリアにいることに気付く。

ピッチ創設の1周年記念として、UEFAのカメラマンが来るから、というのがきっかけで試合を行ったのだけど、そのスキームとか意味について問いだすと、キリがないので、割愛する。イベントとしては、改善の余地がありまくって仕方ない。

 

1週間前にここにきて、来週試合があるぞーーというと、子供達の中で噂が広まって、「え、来週試合があるの?どこで?」って皆が集まってくる。

興味あるものに対しての子供達の好奇心というか熱意というのは計り知れない。

 

このモロッコ人エリアの人たちは皆愛想が良い。でも、やっぱり家の中は見せたがらない。隠しているかように、門を少しだけ開けて話す。どんな生活を送っているかは、全然わからない。自分が想像していたより、いい靴を履いていたり、いいものを持っていたりする。セラーノで売っていものとかではなく。思ったよりも普通なもの。サッカーのユニフォームは、街中で売っている偽物だ。ちなみに彼らのアイデンティテイはスペイン人だったりモロッコ人だったりする。

なんでも売っている店主はとても親切にしてくれて、最初中国人だといったけど、日本のことを話すと、君の国の方が何でもあるんでしょと言われたけれど、いやー日本のコンビニより、あなたの店の方がなんでもあるよ、といったら喜んでいた。けれど、この店がどういう仕組みで成り立っているのかは、わからない。

 

試合の当日、最初に集まっていたのは10人くらいだったけれど、たちまちボールを蹴り始めるとやっぱりたくさんの子供がその周りに集まってくる。噂を聞いた子たちがピッチにどんどん集まって、周りで自由に遊びまわる。落ち着きがない。世界のどこでも子供のエネルギーは同じだなあと実感する。うるさい子もいればおとなしく恥ずかしそうにしている子もいる。ああ、こんなやつ日本にもいるわ。みたいな。

 

サッカーで対戦してわかったけれど、結構うまい子がいる。うっそーんという感じで抜かれたり、あんなに悪いピッチの中でもテクニックが光る子もいる。

Jugas muy bien.とある子をほめてあげると、thank you!と少し照れてとても嬉しそうにしていた。

 

サッカーだけじゃないけれど、才能をつぶさない教育を施したいなあ、というか、この子供達にもどうかチャンスがある世の中にしたいし、それは世界の為になるかもしれない。でも、まあ、既にお金持ちの人たちが、競合が現れないように、ある意味埋もれている才能は埋もれたままにするように世の中を作っているんだろうから、それが秩序だったりもするのかなあ、とか。そうだとしても、彼らが人間としての最低限の幸せな生活と周りに危害を与えない尊厳、そして望んだものを努力で手に入れられる世界にしたいとも思った。

 

私としてのコミュニケーションで言うと、初めてスペインにきたとき感じていたような、差別的な発言はなく、単に私のオリエンタルさに興味を持ち、チノ!ニーハオ!と言ってくる。「ハポネサ!」といって日本がどこにあるか知ってるか?ときくと、知ってるよ、という。ドラえもんやしんちゃん、寿司は食べたことがないけど知っているという子がいた。クラブワールドカップも知っていた。こんな街の子たちでもそれを知っているなんて、テクノロジーの発達で、世界は狭くなっているなあと感じる。確かに各家にはアンテナがあり、何の問題もなく電波はつながる。

 

英語を話せる子もいた。学校で習っているの?と聞くと、「うんそうだよ、でもただ勉強してるだけ。動詞とか形容詞とか、誰とも話さないからうまくならない」。スペイン語でこれを言っていたけど、なんて一人前な回答をするんだ。日本も同じような英語教育の実態だけど、日本の子はそれを意識してないぞ!なんて驚きがあったりする。

 

カメラマンさんに対しても、ねえ、その仕事楽しいの?とか、結構給料いいの?とか盛んに質問をしている。質問の内容が、驚く。彼らの興味はそんなところにあるのか。

 

最後に、写真撮影をしていると、車のカギを取られて、ティーンエイジャーたちが車を運転し出し、車の中にあった女子サッカーチームの子の携帯とスパイクが一時盗難されるという衝撃的な光景に遭った。最後には解決して、女の子にも笑顔が戻ったが、ああ、やっぱり、いわゆるスラム街にいたんだ、自分は。と身の危険を感じるのは当たり前だった。悪い奴といいやつがいる。必死で探したり心配するやつもいれば、まじで悪そうなやつもいた。それはさすがに衝撃を受けたけど、もしそこに争いが起きてしまったら、このイベントやサッカーなんて何も意味がなくなる。

誰も死ななければイベントは成功だ、という言葉がなんだか別の意味を帯びてくるように感じる。

 

スペイン人の若い女の子というグループに入ったのは初めてだったけど、あんなことが起きて、Hasta Nunca.もう二度と来ないよ~とか悪口いってたのに、Has pasado bien?今日どうだった?ってきくと、気を遣っている風でもなく、普通に最終的にはbienだよ!っていう。あなたは?って1人ずつ確認したり。そんな会話、日本の女の子の間でしないでしょー。サッカーができてただ単に楽しかったのかな。

 

はあ、面白かった。心配しないでくださいね。愛が沸くかは別にして、これくらいのリミットなら大丈夫。

彼らと友達になれたのは結構楽しかったなあと思えるから。